直接撮像で明らかにされたスーパージュピターの自転

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ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、木星の4倍の質量を持つ系外惑星「スーパージュピター」の明るさが変化する様子がとらえられた。惑星の自転に伴うものとみられており、系外惑星の自転の直接撮像に初めて成功した例となる。

【2016年2月23日 NASAHubbleSite

ケンタウルス座の方向170光年の距離にある系外惑星「2M1207b」は質量が木星の4倍あり、「スーパージュピター」(質量の大きな木星型惑星)に分類される。主星である褐色矮星「2M1207」から80億km離れたところを公転している。

2M1207系の想像図
2M1207系の想像図。手前が2M1207b(提供:NASA, ESA, G. Bacon(STScI), and Y. Zhou (University of Arizona))

2M1207bは誕生から1000万年ほどしか経っていない若い惑星で、大気の温度は摂氏1200度から1400度と非常に高温である。大気中には雲がまだらに存在して複雑なパターンを作っており、惑星の表面に明暗の模様が見える。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)で2M1207bを赤外線観測したところ、惑星の自転に伴って表面の明るさが変わる様子がとらえられた。自転周期は約10時間とみられている。直接撮像によって系外惑星の自転が測定されたのは初めてで、HSTやその後継機であるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使えば系外惑星の雲の分布や大気組成も明らかにできることを示す成果である。

明るさの変化グラフ
明るさの変化グラフ(模式図)(提供:NASA, ESA, Y. Zhou (University of Arizona), and P. Jeffries (STScI))

また、この惑星の質量は主星の5~7分の1もあり、木星が太陽の1000分の1未満しかない太陽系とは大きく異なる。「2M1207系が、太陽系とは異なったプロセスで形成されたことを示す証拠です」(米・アリゾナ大学 Yifan Zhouさん)。太陽系の惑星は原始太陽の周りにあった原始惑星系円盤から形成されたものだが、2M1207系のスーパージュピターと褐色矮星は、ペアを成す別々の円盤の重力崩壊によって形成されたのかもしれない。

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